その生徒はどうやらこの上なく読解力を身につけた自分を発見したらしい。
夏期講習開始後久しぶりの授業となったが、口ぶりからうれしさが止まらない様子が伝わってくる。何より話が止まらない。予備校で講師に直接ほめられた、周りと明らかに違う、何でも読める気がする...。この数ヶ月いろいろと悩んでいたのがウソのようだ。
このような場合、こちらとしては状況を確認した後は意外にすっと冷めてしまい、補完的に聞き役に回ることになる。今回も授業としては完全な無駄話で2コマ分を終えたが、個別指導ということもあり、話している時間を引き延ばすようにして熱が冷めないようにしておく。よくしゃべってたし、今夜はよく眠れるんじゃないかな。
ほかの分野でもそうだろうが、文法や読解などそれまで見えなかったものが見えると言う体験は、自分の過去を振り返ってもたしかに楽しい思い出だ。本人にとってもどこまでも愉快な体験なんだろうな、この先もがんばってほしいな、と素直に願う。
問題はその余熱で生きていくのには限度があるという点だが、いくつかヒントも与えておいたし大学受験を通過点として、今後もどうにか自力で進められるだろう。あとはがんばりなさいよ、と。