『博士の愛した数式』読了。
静かにどこまでも続いていくような気がしていると、ぽつりぽつりと終わりを知らせる兆しが目につくようになり、あまり大きな展開もなく最後のページにたどり着きました。残りのページ量を惜しみながら、派手な話でもないのに終わるのがさみしい作品です。いや最初からどことなくさみしいんですけどね。とかなんとかそれっぽいことを言いながら『妊娠カレンダー』しか読んでない気がするのは内緒です。しかも『妊娠小説』と勝手に勘違いして覚えてたし。
なんだか映画になっているらしく、公式ページを見てみたのですがイメージと大きく異なっていたのが残念です。なんだかテレビドラマのように無駄に明るいしきれいだし。監督はじめ元黒沢組なスタッフが集まっているからこそ暗さを利用してきれいな光が描けるはずとか期待する方が間違ってますかそうですか。あと日本人らしさとかを売るのも勘弁してほしい。数学そのものには国境はないんじゃなかったのかと。
ついでに『世にも美しい数学入門』も読みました。こちらはプリマー新書シリーズなので、すぐ読めます。まぁ、難しくなってくると流し読みしまいましたけど。『博士の』を読んでいればおさらい的な内容になります。
ここで書くまでもないかもしれませんが、対談ものは話のずれていきっぷりとか修正しようとしてる感じとかに注目すると面白いです。ふたり以上の会話なのでずれている部分に価値がある訳です。で、自分だったらどう思うのかと。
おまけ:
先日も書いた数学者藤原正彦が本書の準備段階で取材を受けた縁から文庫版解説を書いています。ちょっとした文章に対する目の付け所というか彼が気に入っているポイントがよくわかります。藤原作品を多く読んできていることもあり、数日前に『祖国とは国語』を読んだばかりなこともあり、やっぱそういうところで工夫しているんだな、と興味深いです。